あれから6年.超惑星間通信によって彼がうけとったメッセージはごく簡単なものだった。しかしまた、それは彼にとってもっともつらい行為を命じていた。
再び鮮血の太陽のもとに降り立ったルー。彼を出迎えたのは血塗られた決闘状と闇にうごめく陰謀、再会そして死…。それでもルーがダーコーヴァに帰ってきたのは6年前のあの事件に決着をつけるため、ときはなたれたままのシャーラと再び戦うためであった。
無気味に活発化していくシャーラの胎動.その緊迫した状況の中、ルーの旧友レジス・ハスターはハスター家の本当の“力”に目覚める。それはオルトン家の“力”にまったく相反する『生けるマトリクス』としての力。けっしてお互いに心をふれあわせることのできなくなったルーとレジス。なぜなら、オルトンと本当の“力”に自覚めたハスターが交感状態に入ることは、すなわち死を意味していたから。親友達の心をさえぎる見えない壁…。
だが戦いのとき、そんなルーとレジスを救ったのは監視者カリーナだった。彼女の存在が、実際には決してふれあうことさえできないはずのダーコーヴァ最強の力を持つ2大家系、ハスターとオルトンの力をつなぎあわせる。だが、カリーナのその心の中に仕掛けられた恐ろしいわなに気付く者はいなかった。
「昔は ───ルー、あなたがダーコーヴァを離れる前は ──カリーナはかわいらしい少女だったわ。心が広くて、いさましくて。知ってるでしょう。彼女はあなたのために命を賭けたのよ。でもルー、本物のカリーナは、アシャラにのっとられたときに死んだわ。」
はたしてルー達はシャーラのマトリクスを破壊できるのか!?
そしてまた、この戦いのさなか、300年の長くにわたって続けられてきた地球帝国とダーコーヴァの見えざる戦いにも終止符が打たれようとしていた。
──勝つのはシャーラか、ダーコーヴァか、…それとも地球帝園か?
「さらばダーコーヴァ。おまえはもうダーコーヴァではない |