『今日よりのちわたしは、力をもって脅かされたときは、いついかなるときでも力をもってわが身を守ること、そしていかなる男性にも庇護を求めぬことを誓う。』
山賊ルマル・ディ・スカープからアーデス家に届いた脅迫状。嫡子キリルの命と引き換えの身代金の要求。・・・だが、実際にさらわれていたのはキリルとうりふたつの地球人ピーター・ハルダンであった。

『今日よりのちわたしは、わたしの望むとき、みずからの意志と選択によってするのでないかぎり、いかなる男性にもわが身を与えぬことを誓う。けっして男の肉欲の対象となって生の糧を得ることはない。』
ピーターと一時期とはいえ伴侶だった地球帝国の諜報部員マグダレーン・ローンは彼の救助を求めるが、ダーコーヴァ貴族達は地球人の問題だとして事件から顔をそむけ、地球帝国の役人達は交易都市の外側------ダーコーヴァ人の領土で起こったことに介入はできぬと知らぬふりを決め込もうとし・・・、男達の煮え切らない態度に見切りをつけたマグダは、ロアーナ・アーデスの助言の元に「フリー・アマゾン」の変装をして単身ピーターの救出に向かう。

『今日よりのちわたしは、それをわが喜びとし、みずからの意思と選択によってするのでないかぎり、いかなる男性のためにも子を産まぬことを誓う。いかなる男性の家系、財産相続、氏族、名誉、後継者のためにも、子を産まぬことを誓う。』
ピーターを救うための身代金を携えての旅は無事に終わるかにみえたが、悪天候を避けて足を止めた宿屋に居合わせたのは不運にも本物のフリー・アマゾンたち!
フリー・アマゾンの名を騙った者がたどる末路は二つにひとつ。死か、あるいは誓いをして本物のフリー・アマゾンとなるか。
その危機を切り抜けるためその場しのぎの誓いを口にする事をえらぶマグダ。

『今日よりのちわたしは、いかなる男性に対しても、庇護や援助を求める権利を放棄し、誓いの母、ギルドの姉妹、そして雇用期間中の雇用主に対してのみ忠誠を誓う。』
今は彼女の『姉妹』となったフリー・アマゾンの少女ジュエルとピーター救出に向かうマグダだが、ジュエルと行動を共にするうちいつしか彼女は自分の中に、諜報部員として帝国に忠誠を誓う地球人としての自分と、男達と対等にわたりあい仕事をこなすフリー・アマゾン達の生活にあこがれる自分がいることを知る。
帝国の女としての自分ははたしてこれほど、「自由」で「人間らしく」あったかと・・・。

『そしてまた、わたしにとっては、フリー・アマゾンのギルドに属する全員がわたしと同じ血を引くわが姉妹、我が娘であり、ギルドに誓いを立てた女性はだれひとりとしてわたしに願いを拒まれはしないことを誓う。』

女達に、真の人生と、自由を・・・・!