(元気でおてんばな子だった。陽気でよく笑う娘だった……)

ある日ロアーナ・アーデスが受け取ったテレパシーメッセージ。それは助けを求める悲痛な声………13年前、七領土の貴族達の法の及ばぬ地、ドライ・タウンの暴君に誘拐された懐かしい親友メローラの声だった。
ロアーナはすぐさま貴族評議会にメローラの救援を求めるが、もはや貴族達がメローラに望むことはただひとつ・・・13年もの間、だまってドライ・タウンの領主の愛人でありつづけたという恥を死をもってすすぐこと。
腰をあげぬ貴族の男達に業を煮やし、ついにロアーナは自ら傭兵を雇いはるかドライ・タウンの地へメローラ救出に向かう。そのロアーナが選んだ兵とは、自由を叫び男と対等にわたりあうフリー・アマゾンの女達!

だが、なぜメローラは13年もたった今、突然助けを求めるメッセージをよこしたのか? それは、ドライ・タウンの女達の宿命・・・13才になればこの町の女達は両手を鎖でつながれ男達に「商品」として扱われることになる・・・その運命から、自分と暴君ジャラクとの間に生まれたもうすぐ13になる娘・ジュエルを解放したいがために、メローラは決死の思いでロアーナに助けを求めたのだ!

所有の証である両腕の鎖をむしろ誇らしげに、見せびらかすように歩くドライ・タウンの女達に嫌悪を覚えるロアーナ。だがその彼女にフリー・アマゾンのリーダー、キンドラは言い放つ。
「しかし捕われの身にあるという点では、レイディ、あなたがた<七領土>の女も同じなんですよ。はっきりいわせていただければ、たいしたちがいなどないように思えますがね。あの連中は鎖を受け入れ、自由であるというふりなどしていない。あなたがたの場合、ただその鎖が目に見えないというだけで―――」

熱風吹きすさぶ砂漠の町、「ハスターとカシルダのバラッド」のメロディに乗せて、暴君ジャラクの屋敷からメローラを救い出すための女達の戦いが始まる!
<どんなことでもやる! 逃げるためなら、地獄行きの馬にでも乗るわ!>
「今夜をさかいに三十年は、ドライ・タウンではフリー・アマゾンの命は一セカルの値打ちもないものと思え。」
(死なずにいてほしいものだわ。生きて、そう彼にこんなしうちをしたのが、女だということを思い知りながら、生きつづけてほしいものだわ!)
「この子がメローラの命を消耗させ、ために彼女はあれほど求めた自由な世界へたどりつくことができなかった。さらにはジャラクの息子でもある。血族のかたきを取りなさい、レイディ」

そして、旅の終わり・・・・ロアーナは知るのだ。自分がもう男達のいうがままになっていた人形のような女には戻れないことを。自分が自らで判断し生きることを知ってしまったことを・・・自分の腕の「見えない鎖」が砕け散ってしまったことを・・・・。