それは祝福された結婚だった。アンドリューが地球人であるがゆえに正式な式をあげることはかなわなかったが、彼らを祝福し、はげまし、共に人生を歩もうとしてくれる愛があり、友情がある・・・アンドリューとカリスタにはそれで充分なはずだった・・・。

破られる夜の静寂。騒乱。
自らの欲望のままにカリスタの体に触れようとしたアンドリューは彼女のはなった強烈な雷のごとき精神攻撃にはじき飛ばされる。それは厳格な絶対処女の掟を持つ<監視者>である彼女の体に植え付けられた残酷な条件反射-------夫婦として愛を誓いながら、カリスタは自分の夫にその手を触れさせるさえ出来ないのだ!
アンドリューに自分の妹と寝てほしいと懇願するカリスタ。
繊細なテレパスである彼女は、自分の夫の禁欲の苦しみを感じる事にも耐えられない。
「いいえ、アンドリュー、わたしのいうことを聞いて。これはわたしたちの習慣なの。もしあなたがわたしたちの仲間だったら、こういうふうに妹とわたしを共有するのを・・・・あたりまえのことと思うでしょう」
だが、地球人であるアンドリューには彼女の言うことが理解できない。
喜びにみちていたはずのふたりの生活は、悲しみと苦しみにまみれてゆく。

この苦しみを終わらせる方法がどこかにあるはずなのに。
アンドリュー、カリスタ、デーモン、エレミアの4人はそのたったひとつの答えを見つけるために、心をつなぎ力をかさねあわせて、はるか前時代への精神的時間旅行を敢行する。
・・・だが、そのため彼らが作り出した心の<環>、彼らが精神世界へうちたてた<塔>はダーコーヴァのテレパス中継網の監視下にない非合法の<塔>・・・禁じられた『禁断の塔』だったのだ!
『アリリンの塔』からの宣戦布告。
そしてそれは、その後のダーコーヴァの全テレパスの運命を変える一戦となる!

「レオニー、わたしたちがはじめたことをつづけさせてください。<塔>にくる男女が自分たちの仕事に喜びを見つけることができ、無限の犠牲を払って死にも等しい人生を送らなくてもよくなる日がふたたびくるように!」

テレパス達の、その力ゆえの愛の痛みは、いつか終わりを告げるときが来るのだろうか?