(それがすべてのいいわけになってしまう。自然の命をもてあそび、自分たちはかすり傷ひとつ負わない。戦争だといいながら・・・・・。)
自分で馴らした鷹を天高く飛ばし、その心に同調して風を感じるのが少女の楽しみだった------------けものや鳥と心を同調させることの出来る「マッカランの力」はひとりの少女のなかに宿った。少女の名はロミリー。
だが継母は彼女が男のように鷹を飛ばすことを禁じ、父は彼女の意にそまない結婚を強制する。
彼女は父が自分を愛していることを知っていた。継母が精いっぱいの愛情を自分にそそいでくれていることも知っていた。だが、ここが自分の居場所ではないことも知ってしまった。
・・・少女は、髪を切り少年のふりをして旅に出る。
自分が自分のままにいられる場所をさがして。ありのままの自分を受け入れてくれる人をさがして。
しかし気がつけば彼女は、後世に『ハスター戦争』の名で知られる戦いのまっただ中に立っていた!
領地を追われその正体をかくして反撃の時を待つハスターの王子、その首に賞金をかけられた彼の盟友達。対するはハスターの王位簒奪者ラカールと、それを支援する権力に溺れた者リオンドリ・ハスター。
ハスター一族の血で血を洗う骨肉の争い。恐るべき超能力戦のすえ放射能にまみれる街、村、森。
戦場で矢に射られて命を落とす斥候鳥の、剣に切り裂かれて息絶える軍馬たちのその痛みが彼女の心を引き裂く!
「あの鳥は生きるのを愛していたわ! あなたとカロリンのために死んだのよ。--------あなたたちが憎らしい。男と王とこの戦争が。みんなあの鳥の羽一枚の価値もないわ!-------」
だが、最後の時、やはりロミリーは選ぶのだ。鳥を飛ばすことを・・・。
(自分が生命の一部であることを知りました。・・・・・でも、本当に小さな一部でしかないのですから)
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