時は21世紀。人類が宇宙という新たなるフロンティアに初めて踏み出した時の記憶も新しいそんな時代・・・。
その日、ハリー・レスター船長率いる宇宙植民船は磁気嵐にまきこまれ、未だ人類の誰もが足跡を残したことのないその星に不時着した。
 居住可能なM型惑星。4つの月があり、自転周期は28時間。中型暗赤色恒星の太陽を持ち、気温変化は極端。

『じゃあ、6週間たっても、船が修理できないとわかったら、どうするんです?』
『新世界にしるされた、人類最初の足跡だよ』
『マルコは死んだわ。彼のためにできることはもうないの』
『この惑星には先住者がいます』
『つまり、この惑星に来てから、約4分の3の女性の生理がおかしくなっているということです』
『昔の人は月の光を浴びて眠るのは危険だと信じてたんだ-------ルナティック(気違いじみたの意)という言葉はそこから出たんだよ。だとしたら、4つの月のしたで眠ると4倍危険なのかな?』
『食べると死ぬぞ。二口でひどい腹痛がおこって、カップに半分も食べると死んじまう----いったいどうしてぼくはこんなことを知ってるんだ?』
『船長、われわれはもうどこにも行けないのです』
『きみは花さ』
『・・・わたしは船長を撃ったんだ・・・』
『わたしの惑星は、木樹や花がいっぱいあるほうがいいわ------それに太陽の光もね。たとえ血の色の光でも』

修復不可能な宇宙船。死体の山。遠い故郷。閉じ込められた世界。
やがて「ダーコーヴァ」の名で呼ばれることになるその星で、人々は何を失い、何を見つけるのか。
今ここに、惑星ダーコーヴァの歴史がその幕をあげる!

《きっとそうだ。風の中で狂気が暴れたとき、わたしとひとつになったきみに今、この子ができたのだから。わたしは、少しも後悔していない--------》